イギリスは9月23日に大規模な減税計画を発表し、財政悪化への懸念からポンドが売られました。9月28日にイングランド銀行が英国債の緊急買い入れに動いたというニュースがありました。
イギリスはEU時代からユーロを使っていない
皆さん、イギリスがEUから離脱した際、ユーロからポンドに切り替えたと思ってませんか?もしくは何となくイギリスはポンドだなって思っている人も多いと思います。
そうなんです。イギリスはEU時代からポンドを使い続けているのです。ですからブレグジットもすんなり行けたのです。これが他の国だったら新たに通貨を発行して各国通貨とレートを決めて・・・・・もうしんどいですよね。
話を1992年にまで戻します。
EMR(欧州通貨制度)
EU統合に向けて通貨も共通にすべく、一定期間為替レートを一定水準に保つ取り組みが行われました。これがEMRです。当時イギリスは不景気だったので利下げをしたかったのですが、この枠組みを守るため金利(公定歩合)を高く設定していました。
ポンド危機
この時、実体経済はめちゃくちゃだったのでこれは維持できないと見たマーケットはポンドを売り始めました。この時ドイツは助けなければいけなかったのですが、イギリスを見放しました。これを勝機と見た投機筋が、苛烈を極めるポンド売りをしました。イングランド銀行は何度も買い支えたのですが、最後は諦めて買い支えるのをやめました。中央銀行が投機筋に負けたのです。この時の攻防戦がどれくらい凄まじかったというと1日のうちに2回も利上げしたのです。10%から15%です。今、アメリカの利上げでこんだけ世界経済が混乱してますが、その比ではないです。
そんなこんなでイギリスはEMRから脱退して通貨はポンドを使い続けることになったのです。
ポンド危機のヒール、ジョージソロスとBNF(ヴィクターニーダホッファー)
ポンド危機といえばジョージソロスです。世界的に有名な投機家です。現在でもダボス会議に参加している重鎮です。ジョージソロスはこの投機筋の親玉的な存在で語り継がれています。実はこの時ジョージソロスは全力でポンドだけ売っていたわけでもなく各国の通貨をヘッジしていたし、ポンド売りしていた投機筋の一部でしかないのですがポジションがデカかったので有名人になりました。
実はこのポンド売りのアイデアは当時ソロスの部下であったBNFのアイデアだったのです。BNFと言ったら日本の個人投資家を思い浮かべるかもしれませんが、このハンドルネームも彼がBNFに憧れてつけている名前なのです。
ジョージソロスについて
ジョージソロスはハンガリー出身のユダヤ人です。(ユダヤ人については別記事を見てください)ハンガリーってニコラ・テスラとかノイマンとか常軌を逸して優秀な人が多いんですよね。それは置いときまして、ソロスはもともと哲学者を目指していました。しかし、彼の師匠である有名な哲学者、カール・ポパーを超えられないと悟ったソロスは投資家に転向します。元々はヨーロッパで活躍していたのですが、アメリカに移住し、アメリカでヨーロッパ投資をする人が少なかったこともあり大成功を収めます。ジムロジャースと組んで活躍したクオンタムファンドは有名です。ジムロジャースは最近、経済危機ばっかり叫んでる狼少年
になってしまいましたが。
再帰性理論
ソロスの元は哲学者であり、哲学者として成功できなかったが、株式市場で人の心理を確認して行くことが彼の自己実現につながっています。
ですので彼の投資手法は心理学や人の感情のギャップを利用しています。有名なのが再帰性理論です。ちょっと難しいですけど簡単に説明します。
普通雨が降ったら傘をさします。しかし、傘をさしたからと言って雨が強くなることはありません。しかし、株価は違います。株価が安くなります→みんなが株を売ります→株価がさらに安くなります→さらに株が売り込まれます。つまり結果が行動に再帰するということなのです。そして、それはみんなが思っているよりいき過ぎるところまでいくというものです。
これは皆さんも思い当たる節があるのではないでしょうか?トレンドはある程度継続するのです。買いの場合はゆっくり確かめながら、売の場合はものすごい早くこのサイクルが回ります。これがトレンドの正体です。
今日はこの辺にしておきます。