シリコンバレー銀行の破綻から始まったドタバタは一旦一息ついたように思います。しかし、まだまだ落ち着くには早いと思いますので、そちらについては前回の記事をご覧ください。
今日はヨーロッパについて話をしたいと思います。今回の問題が解決するには、最終的にEUの崩壊または再構築が必要ではないかと考えています。
なぜそう考えるのか。それについてお話ししたいと思います。
イギリスとスイスの特殊事情
イギリスがEUから離脱できた大きな理由は通貨が異なるからです。イギリスはポンドを使用しています。なぜそんなことが起きたのかについては過去の記事で触れていますのでご覧ください。なかなか面白いと思います。
スイスは永世中立国という立場でEUには参加しておりません。ちなみに通貨はフランを使っております。
この2国が他のEU諸国と決定的に違うことは
・1政府1中央銀行
・通貨発行権(正確には独自通貨を持っている)を持っている
ことです。
EUの抱える構造的問題
先ほどイギリスとスイスのお話をしましたが、EUが異なる点は多数の政府に1中央銀行(ECB)しかないということです。これを日本国内に置き換えて考えてみましょう。例えば、ドイツを東京、ギリシャを沖縄と仮定します。沖縄の財政が厳しい場合、東京で稼いだお金を沖縄の橋や道路に使うことができます。これは日本政府が介在しているからであり、東京と沖縄が同じ日本であるから出来ることです。話を戻しますと、ドイツで稼いだお金をギリシャに使えるか?ということになります。政府も国民も違うので借金という形で融資せざるを得ません。しかし、EUのようなドイツ1強の状態では貿易黒字はドイツに集中し借金した国は資産を切り崩して返すしかないのです。そうして搾取される側の体力もなくなり搾取する側のドイツも貧乏になっていくのです。これを解決するにはEUの統一政府を作ることです。しかし、私の視点からはまだEUは一枚岩ではないように思います。近々訪れる危機の方が早くもしかしたらそれがきっかけで新しい秩序が生まれるかも知れません。
危機の本丸ドイツ銀行
投資家の間で広く知られるドイツ銀行の破綻問題についてお話しします。ここ数年、いつ破綻するのかという話が定期的に話題になっていますが、改めてこのニュースを振り返ってみましょう。
私が初めてドイツ銀行の名前を聞いたのはリーマンショックの時です。実はリーマンショックの時、ドイツ銀行とゴールドマンサックスは大儲けしていたのです。
その方法はCDSを買うことです。CDSはクレジットデフォルトスワップのことです。本来投資先が倒産した時の保険として買う商品です。しかし、倒産する見込みが高ければこれは倒産に賭けて大量に買い込めば儲かります。これで大儲けしたのです。
それでは今、ドイツ銀行はまたCDSを買っているのか?それがなんと売る側に回っているのです。その正確な額はドイツ銀行自身もあまり把握出来ておらず、約700兆円と言われています。もう一回いいます約700兆円です。コロナ対策でアメリカが金融緩和した額が600兆円と言われてます。日銀が保有している日本株が約50兆円です。日本の国家予算が約110兆円です。EUの構造的問題、世界経済のリセッション入りを鑑みるといつこの爆弾が爆発してもおかしくありません。
クレディスイスの場合大きすぎて潰せないでしたが、ドイツ銀行の場合、大きすぎて救う方法がないとなります。一回バンザイしてガラポンしないといけません。
これがドイツ銀行問題です。それは油断した頃ある日突然やってくるでしょう。その時は円も含めて通貨のあり方が大きく変わる時だと思っています。
それではまた。